コロナ禍を機により身近になった、デジタル化やオンライン化。
企業や学校教育の場、そして地域活動でも徐々に活用が進んでいます。
今回は、「自分たちでできる」オンライン化を進める西九条地域へ取材にいきました!
○地域拠点のオンライン化のきっかけ
公民館の建替えに伴い、何かと負担の多い「館の予約」や「鍵の管理」などを新しい人に引き継ぐことを考えた西九条地域。その会館管理に白羽の矢がたったのが、地活協の副会長で若手の佐藤是人さんです。
佐藤さんは、普段は仕事をしながらスキマ時間で地域活動にも関わっています。インタビュー中も仕事の電話が鳴り、テキパキと対応されていました。
そんなバリバリ働く佐藤さんにとって、いつどこで入るかわからない予約の電話を受けて、手書きの分厚いファイルを確認し、鍵を開けに公民館に駆けつけて・・・といったアナログで管理するのは自分には絶対に無理!ということで、次の一手を考えます。
「自分なり=働きながらできるやり方で」
仕事でもプライベートでも普段から手元にあるスマホで管理できれば、私にもできる。鍵の開け閉めや予約を、スマホやパソコンでどこからでも行えるオンラインシステムを会長の野中さんに提案。これまで会長自身も負担に感じていた会館管理がラクになるのであればと、実施することになりました。
スマホ一つで予約も鍵の開け閉めも
「スマートロック」をみなさんご存じですか? スマホで鍵の開け閉めができる機器で、どこかで聞いたことがある方や、すでに使っている方もいるかもしれませんね。
スマホが鍵となり、その場でも遠隔でも開け閉めができてしまう便利グッズです。扉の鍵に取り付けて、スマホをちょっと設定するだけで設定も完了。実は取材した私も自宅に自分で取り付けて使っています。
佐藤さんはそのスマートロックを導入することで、鍵をわざわざ会館まで受け渡しに行く必要がなくなりました。
そして予約はオンライン予約管理ツールを活用。ひと目で空き状況や使用料もわかり、地域の方にとってもやさしいつくりになっています。
この予約サイトへより多くの地域の方がリーチする方法を模索されていました。
さらに、きちんと施錠されているかどうか、webカメラでセキュリティのチェックまで!
盛りだくさんに新しいオンラインツールを導入して、なんだか難しそうと思うかもしれませんが、これら全部スマホ一つで完結。これまで会館を使ってきた町会や老人クラブの方々も、スマホ片手にオンライン予約やスマートロックを楽しみながら使いこなしているそうです。
西九条公民館は、西九條神社の目の前の立地で、お祭りの時は休憩場所として使ったり、地域の集まりに使うなど、まさに地域の拠点となる場所。
館内で利用できるwi-fiも導入され、地域活動への展開にも期待が集まります。
○オンライン化してみた地域の反応
佐藤さんが提案したオンライン化について、地活協会長の野中さんは「自分では思いつかないハイカラな仕組み。まずはすべて佐藤さんにお任せしよう!」と新しい一歩を踏み出します。
実際に解錠・施錠を体験してみて、便利なシステムだと実感。スマートロックが故障したときの対応やインターネット回線などの費用負担(月に数千円程度)など、すべてを佐藤さん任せにせず、地域でしっかりと考え「自分たちでできる」仕組みを着々と整えています。
○今後の展望
自分で作ったシステムは、自分がよく知っている。
そう物語るように、丁寧な説明をして下さる佐藤さん。
この仕組みをバトンタッチできるよう、地域の方々へのレクチャーやマニュアルづくりなど、次への引き継ぎもすでに考えられています。
「そんなに難しいものではない。オンラインツールはまだまだ地域に知られていないだけで、ちょっと触れてみると多くの人が便利に使えるようになっている。どんな地域でもすぐに展開できますよ」と優しくお話してくれました。
「難しい」「ハードルが高い」「自分には無理」と思いがちな「デジタル化」や「オンライン化」
その壁は思ったほど高くなく、ひとたび越えると世代間の対話や協議の機会が増え、デジタルとアナログをうまく使い分けたよいシステムが生まれることを実感した今回の取材。
「自分なり」の地域へのかかわり方を模索する担い手がいて、それを受け入れる先輩役員の寛容さとが相まったことで、加速度的に地域拠点のオンライン化が進んでいました。